恋愛未満

恋愛モノでも書いてみよう!の結果。
ボイスドラマにしようと思ったけど振りかえれない類なのでここへ移動。


配役
石坂 空(いしざか そら)  :高校生に入学すると、昔転校した小学校に居た人たちと再会した。
柏谷 悠也(かしたに ゆうや):空のクラスメイトであり、小学校も同じだが…。 
清水 真理亜(しみず まりあ):空の友達。5年ぶりの再会。
早見 健(はやみ たける)  :真理亜の彼氏。空との面識はなし。 

塩野:空たちと同じ小学校の一人。
先生:空たちのクラスの担任であり、図書委員の担当。


**


空  :(この春、高校生になった私は、懐かしい人と再会した)

真理亜:「あれ?もしかして、空?」
空  :「? えっ真理亜?」
真理亜:「うわぁ久しぶりだぁ!元気だった?」
空  :「うん!と…5年ぶり…?」
真理亜:「空が転校してからだからー、そのくらいかぁ」
空  :「転校っていっても、隣の市だからね。他の子もたまに見かけたり会ったりはしてたけど」
真理亜:「そうなんだ。でも同じ高校でよかったー!この高校、あんまり知ってる人いなくて」
空  :「私も。心強い味方ができた気分」
真理亜:「またこれから3年間、よろしくね!」
空  :「こちらこそ」

空  :(小学5年生に上がる時、私は両親の都合で隣の市に引越し、転校した。
     それまで一緒に遊んでいた友達の一人が、真理亜)
    
真理亜:「小学校の時の子と、まだ連絡取ったりしてる?」
空  :「全然。転校してすぐは手紙のやりとりしてたけどね」
真理亜:「そんなもんだよねー。私も、中学校が別になっちゃった子とは、しばらく連絡とってないなぁ」
空  :「中学の子たちとも、段々そうなっていくのかな…」
真理亜:「かもね。でーもー!代わりに、高校で新しい友達たくさん作ればいいんだし!ね!」
空  :「うん…。友達、できればいいなぁ」

真理亜:「そういえば、空って柏谷くんと仲良かったよね?」
空  :「え?…あぁ、うん。転校するまではね」

空  :(読書が好きな私が、図書室に通っていて知り合ったのが柏谷くんだ。
     数少ない図書室の利用者同士、かつ学年が一緒ということで、よく本について話していた)

真理亜:「手紙とか、やりとりしてなかったの?」
空  :「してないよ。ていうか…転校する前にちょっと…」
真理亜:「喧嘩でもしちゃった?」
空  :「うーん…、まぁそんなとこ…」

空  :(あれを喧嘩といっていいのか、わからないけど)

真理亜:「そうだったんだ…。じゃあ、仲直りできるといいね」
空  :「え?」
真理亜:「柏谷くん、高校一緒だよ」
空  :「え、」
真理亜:「だから今聞いたんだけど…そっかぁ喧嘩してたのかぁ」

空  :(転校直前のあの日から忘れられなくて…これから先も、時折思い出してしまうんだろうと思っていた、自分の中ではとっくに過去になってた人。
     会いたいような、会いたくないような…)



(数日後)

真理亜:「で?なーんで柏谷くんのこと避けてるの?」
空  :「別にそんなつもりは…」
真理亜:「なくないでしょ!同じクラスになっちゃったからには、いつかバレるのに…」
空  :「そうなんだけど…心の準備が…」
真理亜:「もう…」
空  :「それに、私のこと覚えてないかもしれないじゃん?」
真理亜:「えぇー。そんなことないんじゃないかなぁ?」
空  :「う、んー…話しかけられたら、話すよ…」
真理亜:「そんなに気まずい喧嘩したの?」
空  :「喧嘩っていう程のことじゃ、ない、かなぁ…」
真理亜:「じゃあさっさと仲直りしちゃえばいいんだよぉ!空だってずっと気にしてるんでしょ?」
空  :「それは、まぁ、ね…」
真理亜:「そういうマイナスなことは、先に済ませちゃうに限るんだよ?」
空  :「でもタイミングがさ…」
真理亜:「あ、今日のホームルームって委員会決めるって言ってたでしょ?図書委員に入っちゃうのは?」
空  :「図書委員?」
真理亜:「確か柏谷くん、中学でずっと図書委員やってたんだよ!だから、同じ委員なら絶対喋るでしょ?」
空  :「えぇ…」
真理亜:「空だって本好きなんだから、ちょうどいいじゃない」
空  :「うーん…」
健  :「真理亜ー、辞典貸して」
真理亜:「またぁ?いい加減持ってきなよ」
健  :「なんだよ、高校入ってからは初めてじゃん」
真理亜:「高校生になったんだから、借りに来るのやめればいいじゃん」
健  :「だって重いし」
真理亜:「それ私もなんだけど。あっ空にまだ言ってなかったよね。こいつ、早見健っていって、同じ中学校だったんだ。一応…私の彼氏」
健  :「一応って何だよ」
真理亜:「い、いいでしょ!細かいなぁ。で、この子は石坂空ね。小学校の時転校しちゃったんだけど、高校でまた会えたの!」
空  :「よろしくね」
健  :「あ、うん、よろしく」
空  :「真理亜、彼氏居たんだねぇ」
真理亜:「い、一応だよ!一応!」
健  :「だから何だよ、一応って」
空  :「照れてるの?」
真理亜:「ちちちがうよ?!」
空  :「顔赤いけど(笑いながら)。あれ、でも中学からの付き合いなんでしょ?」
健  :「あー、中学の時は自然にみんな察してくれたからじゃん?自分から「彼氏ですー」って紹介すんのが初めてで恥ずかしいんだろ」
空  :「なるほどー、かわいいねぇ」
真理亜:「そっ…もっ…じゃなくて!辞書でしょ!はいこれ!」
健  :「おっサンキュー」
真理亜:「空は私の話じゃなくて、自分の話でしょ!逸らそうとしてもだめだからねっ」
空  :「別にそういうつもりじゃないよー、気になるもん」
真理亜:「じゃあ柏谷くんと仲直りしたら、知りたいこと教えてあげるよ」
健  :「柏谷?そいつも小学校一緒だったやつ?」
真理亜:「そうそう、あそこに座ってる…」
健  :「へぇ。喧嘩したの?」
空  :「…ちょっとね、」

SE:チャイム(下記被り)

健  :「お、予鈴。じゃあ真理亜、終わったら返しにくるな」
真理亜:「はいはーい。  次数学かぁ…」
空  :「憂欝だね」
真理亜:「うん…それじゃ、また後でね。数学乗り切ろー」



(ホームルーム)

先生 :「今日のホームルームは、この間話してた通り、委員会を決めていきます。立候補制ですので、やりたい委員会があれば挙手してください」
空  :(委員会…あ、真理亜がこっち見てる。どうしよ、かな…。その前に、図書委員に柏谷くんが立候補するって決まった訳じゃ…)
先生 :「では次、図書委員に立候補したい方」
空  :(あ、)
悠也 :「はい」
先生 :「柏谷くんね」
空  :(真理亜の言った通りだ)
先生 :「他にいませんか?…それでは、とりあえず柏谷くんは決定ですね。もう一名は後で決めましょう。次の委員会は――」
空  :(どうしよ…確かに真理亜の言う通り、こうやって悩んでるより、さっさと話しちゃえば楽なんだろうけど…。
     それに図書委員は、私も興味あるし…うーん…)
先生 :「ではまだ決まっていない委員会を再度聞いていきます。まずは美化委員」
空  :(あ、真理亜が何か言ってる?『としょいいん、やりなよ』?)
先生 :「次に図書委員、いませんか?」
空  :(…他に立候補もいないなら…。決まらないと困るし、ね)
空  :「…はい」
先生 :「石坂さんですね。では図書委員は柏谷くんと石坂さんにお願いします。後は体育委員ですね」
空  :(立候補、しちゃった…。柏谷くん全然反応してないけど、やっぱり私のこと、覚えてないのかな…)



真理亜:「空、偉いよっ!」
空  :「図書委員の話?」
真理亜:「そうそう!」
空  :「私もやりたかったしね」
真理亜:「相変わらず、本好きなんだ?」
空  :「うん」
真理亜:「中学でも図書委員だったの?」
空  :「そうだよ。3年間ずっと」
真理亜:「へぇ!」
空  :「高校になって本の種類も増えただろうし、結構楽しみなんだ」
悠也 :「石坂さん」
真理亜:「あっ柏谷くん!」
悠也 :「あぁ清水さん、そういえばまだ挨拶してなかったね。また一年よろしく」
真理亜:「よろしくねー!」
空  :「あ…えと、何…かな…?」
悠也 :「同じ図書委員になった柏谷です。よろしく。これ、明日の委員会で使うプリント」
空  :「あ…よろしく…、ありがと…」
悠也 :「じゃあ明日の放課後」
真理亜:「……柏谷くん、空のことわかってないのかな…?何も言わなかったけど…」
空  :「うん…やっぱり覚えてないんじゃない?5年前だし」
真理亜:「えぇーでも私は覚えてたよ?」
空  :「それはほら…女子同士だから?」
真理亜:「そんなことないと思うけどなぁ…見た目だってすごい変わった訳じゃないんだし」
空  :「んーでも小学校の時のことなんてさ、結構忘れちゃうんだって」
真理亜:「そうかなぁ…」



(図書委員会)

先生 :「クラス毎にまとまって座ってください。学年は奥が1年生、手前が3年生ね」
悠也 :「柏谷さん、ここでいい?」
空  :「え、あ、うん」
先生 :「図書委員の仕事は、昼休みと放課後の貸出当番と図書新聞の発行、本の管理です。当番については、1日交代で順番に回っていきます。日付はプリントの通り。
     新聞に関しては先生がまとめますが、毎回数クラス毎に担当してもらうコーナーがあります。
     今日は初回なので、クラスで1冊、おすすめの本と簡単なあらすじ・感想を提出してください」
悠也 :「おすすめの本か…」
空  :「1冊、だよね…」
悠也 :「石坂さん、どんな本を読むの?」
空  :「えっと…推理小説とか…」
悠也 :「おすすめってある?」
空  :「えっ…、おすすめ…?」
悠也 :「俺は純文学とか結構読むんだけど…図書便りに載せるにはもうちょっと興味持たれそうな方がいいかなと思って」
空  :「柏谷くんがおすすめの本あるなら、そっちでいいと思うよ?」
悠也 :「そう?じゃあ書いちゃうね」
空  :「うん…。あの、ごめんね?」
悠也 :「何が?」
空  :「やってもらっちゃって…」
悠也 :「同じ本読んでないならこうするしかないんだし、気にしなくていいよ。多分他のクラスもそうなんじゃない?」
空  :「……うん、そうみたいだけど…」
悠也 :「次に図書便りの担当回ってきたら、今度は石坂さんがやってくれればいいし」
空  :「うん…そうするね」





真理亜:「相変わらず?」
空  :「え?何が?」
真理亜:「柏谷くんの話ー。委員会だってもう数回やって、結構話したでしょ?」
空  :「話したけど…委員会の話ばっかりだよ?」
真理亜:「えぇ…覚えてるかとか、聞かなかったの?」
空  :「うん…。なんか、機会逃しちゃったというか…今更聞けないというか」
真理亜:「向こうもそう思ってるかもよ?」
空  :「でも、すごく普通に話かけてくるんだよね。ちょっと覚えてたら、「あれ?」みたいになったりするんじゃないかなぁ」
真理亜:「そっかー…。仲直りどころじゃないね」
空  :「そうだね。今更その話蒸し返すより、このまま同じ委員会のクラスメイトの方がいいと思う」
真理亜:「空がいいならいいけどー。でも、空はその喧嘩、気にしてないの?」
空  :「そりゃあ、気にはしてるけど…でももう思い出っていうか。過去のことってずっと思ってたし」
真理亜:「そう…」
健  :「真理亜ー」
真理亜:「何ー?辞書なら貸さないけど」
健  :「なんでだよー。って、今日は辞書じゃない」
真理亜:「暇なの?」
健  :「じゃなくて、客連れてきた」
真理亜:「客?」
健  :「っても、お前にじゃないけど」
真理亜:「え?じゃあ誰に?」
健  :「石坂さん」
空  :「私?」
健  :「うん。ほら」
塩野 :「あー、えっと…久しぶり」
空  :「あ…塩野くん…?」
塩野 :「うん…」
空  :「久しぶりだね…同じ高校だったんだ」
塩野 :「早見と同じクラスで…」
健  :「中学校も一緒だったんだ、俺ら。そんで真理亜の話しから石坂の話をしたら、用事あるって言うから連れてきた」
空  :「そっか…。どうしたの?」
塩野 :「…謝りたくて」
真理亜:「謝る?」
塩野 :「本当はもっと早く謝りたかったんだけど、石坂さん転校しちゃったから…」
空  :「あのことなら、気にしてないよ」
塩野 :「…でも、ごめん」
空  :「うん…」
真理亜:「何か…あったの?」
空  :「転校する前にちょっとね。真理亜が前から聞きたかってた、柏谷くんとの喧嘩の話だよ」
真理亜:「えっ。塩野くんも関係あったの?」
塩野 :「多分、俺が原因というか…」
空  :「そんなことないって」
塩野 :「…小学校の時、クラスの男子でさ、誰が誰のこと好きとか言う話をしてたんだけど。その時いた一人が、柏谷と石坂さんって仲良いよな、付き合ってんのか?って言いだして。
     おもしろがって、ノリで本当か確かめようってことになったんだけど、罰ゲームで俺が聞くことになったんだ。
     俺、柏谷とはほとんど喋ったことなかったから、石坂さんに聞こうと思って図書室行って、石坂さんが一人で本読んでたから聞いたんだよ」
空  :「確か最初、『柏谷と付き合ってるの?』って聞かれたんだよね。だから違うよって答えたの」
塩野 :「そこで終われば良かったんだけど、そのまま帰ったんじゃクラスの男子に文句言われると思ってさ、『好きなヤツ誰?』って聞いちゃって」
空  :「私も『付き合ってるの?』なんて聞かれたことに動揺しちゃってたから、素直に『柏谷くんだけど』って教えちゃって」
塩野 :「そしたら、いつからいたのか知らないけど、近くの棚から柏谷が出てきてさ。聞かれちゃったんだよね…」
真理亜:「うわぁ…タイミング悪い…」
空  :「それで私、『聞かれた!』って慌てちゃって…『やっぱ嘘!柏谷くんなんて全然好きじゃない!』って」
真理亜:「ふふ、何それ、可愛いじゃん」
空  :「まぁ今となってはね。けど、それ聞いた柏谷くんが『そう』って。いつもの感じで、相槌うつみたいに言ったのね」
健  :「『そう』だけ?」
空  :「うん、それだけ。でね、私が勝手に柏谷くんのこと好きだったけど、それにしてもその返答に逆に傷ついちゃったっていうか、ショック受けちゃって。
     普通、『全然好きじゃない』って言った私の方が傷つける側なんだけど」
真理亜:「それはあの…柏谷くんもショックのあまり、それしか言えなかったんじゃない?」
塩野 :「でもそのあとさ、柏谷は持ってきた本、座って読み始めたんだよ…普段通りに。こっちなんて全然気にしないで」
真理亜:「あー…」
空  :「それで私、半分泣きながら帰ったんだよね。それから図書室行かなくなって、すぐ転校しちゃったんだ」
真理亜:「そうだったんだー…」
空  :「だから、喧嘩ともいえないというか…。若干気まずい思いを勝手に抱いてるというか」
塩野 :「俺が図書室で聞かなきゃよかったんだよ…本当、ごめん」
空  :「だから気にしてないって。もう昔の話だしね」
塩野 :「うん…ありがとう」
健  :「あ、塩野、そろそろ戻らないと予鈴なる」
塩野 :「本当だ。それじゃ、教室戻るから」
真理亜:「またねー」
空  :「うん。もう気にしないでいいからねー」
真理亜:「…はぁ。そんなことがあったんだー」
空  :「あったんだよ」
真理亜:「そりゃあ気まずいよねぇ」
空  :「でも私のこと忘れてるみたいだから、よかったけどね。覚えてたら、どうしていいかわかんなかったかも」
真理亜:「ていうか、やっぱり柏谷くんのこと好きだったんだね?あの頃は教えてくれなかったじゃーん」
空  :「それはほら…恥ずかしいじゃん?」
真理亜:「今は?」
空  :「今は恥ずかしくないよ(笑いながら)もう5年前のことだし」
真理亜:「じゃなくて、今は好きじゃないの?」
空  :「…今は…好きだけど、それは人としてっていうか…」
真理亜:「前は好きだったのに?」
空  :「うーん…私の中ではあの時で終わっちゃってるんだよね。今の柏谷くんはまた別っていうか…」
真理亜:「ふぅん?」
空  :「それに、あんまり話さないしね」
真理亜:「じゃあ、前みたいに話したらまた好きになるかもしれない?」
空  :「どうかなぁ?わかんないな」



先生 :「あ、柏谷くんと石坂さん」
悠也 :「はい」
空  :「何ですか?」
先生 :「今日図書当番ですよね?」
悠也 :「はい」
先生 :「閉館してから下校時間までの間で、ちょっと手伝ってほしいことがあるんですが、時間ありますか?」
悠也 :「俺は大丈夫です」
空  :「はい、私も平気です」
先生 :「すみませんね。よろしくお願いします」


空  :(というお願いで、先生から預かった仕事を手伝っているんだけど…)
先生 :「これから会議があるので、少し席外します。下校時刻前には戻ってきますので、このままお願いしますね」
空  :(って行ってしまわれたので、柏谷くんと二人きりなのですが…)
     無音
空  :(気まずい…。いつもは委員会の仕事関係で話すことがあるけど、先生の手伝いだと相談することもないから、会話が…ない)
悠也 :「休憩する?」
空  :「…へ?あ、え?」
悠也 :「疲れたのかと思って」
空  :「え?あ…そう、かな?」
悠也 :「手、止まりがちだったから」
空  :「あ…ごめん」
悠也 :「別に謝らなくても。委員の仕事じゃなくて、手伝いなんだし」
空  :「うん…」
悠也 :「はぁ…(伸びる感じの) 喉渇いたな」
空  :「あ、当番終わってからすぐこっち始めちゃったもんね」
悠也 :「閉館して誰もいないし、いっか」
空  :「…私いるけど…」
悠也 :「石坂さんは別に気にしないでしょ?ていうか、石坂さんも何か飲んだら?」
空  :「…いいのかな」
悠也 :「先生まだ帰ってこないし、見つからなければ大丈夫でしょ」
空  :「…ふふ」
悠也 :「石坂さん?」
空  :「あ、ごめん…なんか、思い出しちゃって」
悠也 :「思い出す?」
空  :「前にも、同じような台詞聞いたなぁ、って。でもその時は、タイミング悪くて先生帰ってきちゃって」
悠也 :「怒られたって話?」
空  :「そうそう…あれ?」
悠也 :「小学校の時の話でしょ?」
空  :「そうだけど…あれ、なんで?」
悠也 :「なんでって…俺が言ったから?」
空  :「そうじゃなくて…覚えてるの?」
悠也 :「うん?覚えてるけど」
空  :「え…私のことも、覚えてる…?」
悠也 :「当たり前じゃん。小学校の時転校した石坂さんでしょ?」
空  :「!そ、そうだけど…!てっきり忘れてるんだと思ってた…!」
悠也 :「そんなに細かくは覚えてないけど」
空  :「えぇぇ…なんで教えてくれなかったの…」
悠也 :「え?だって石坂さんが話したくないのかと思って」
空  :「ん?なんで??」
悠也 :「俺のこと避けてるっぽかったから?」
空  :「そんなこと…!なくは、ないかな…」
悠也 :「でしょ?」
空  :「いや、でもそれは気まずかったっていうか…」
悠也 :「最後のあれ?」
空  :「そう…」
悠也 :「今じゃ微笑ましい思い出になってていいんじゃない」
空  :「そ、だけど…。なんかごめん」
悠也 :「なんで謝るの?」
空  :「好きじゃないとか言っちゃったなあ、と」
悠也 :「別に気にしてない。あ、でも当時は傷ついたかも」
空  :「え!嘘!」
悠也 :「それで『そう』ってそっけなく言っちゃったんだ。そしたら石坂さん出て行っちゃって」
空  :「え…え?傷ついたからそっけなかったの?」
悠也 :「子供だし意地張ったっていうか」
空  :「…私てっきり、私のことどうとも思ってないのかと…」
悠也 :「なんで。だって散々図書室で喋ってたじゃん」
空  :「うん…だから、ショックたっだんだよね…」
悠也 :「あー…ごめん」
空  :「いやいや!柏谷くんが謝ることはないので!あ、そういえば塩野くんからも謝られたんだよね」
悠也 :「そういえばそれがあの話のきっかけだったか」
空  :「…その反応ってことは、会話、最初から聞いてたんだ?」
悠也 :「聞こえただけ」
空  :「えー…」
悠也 :「とりあえず誤解が解けたようでよかったよかった」
空  :「はぁ…そうだね…」



空  :「ということで、誤解はとけたし、前みたいに喋れるようになりました」
真理亜:「よかったよかった。やっぱり私が言った通り、柏谷くん空のこと覚えてたんじゃんー」
空  :「うん。これで気まずさはなくなったよ」
真理亜:「そっかぁ。じゃあ柏谷くんとはお友達?」
空  :「んー…多分?」
真理亜:「また好きになったりしないの?」
空  :「え!…そこまでまだ親しくなってないしなぁ」
真理亜:「じゃあ、もっと喋ればまた好きになるかもしれないんだ?」
空  :「だからわかんないって」
悠也 :「石坂ー。次の図書新聞のことでちょっと聞きたいんだけどー」
空  :「あ、今行くー。  真理亜、ごめん。呼ばれたからちょっと行ってくるね」
真理亜:「はぁい、行ってらっしゃい!」
    「……自分じゃ気付いてないのかな? 空、柏谷くんと喋ってる時、すごく嬉しそうなんだけどねぇ」


恋愛に含んで良いのかわからないからタイトル通り。
2014/11/19


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